日本では「睡眠時無呼吸症候群」の患者さんは推定で、
40~50歳代の男性を中心に約200万人といわれています。
「いびき」をかく人の7割に「睡眠時無呼吸症候群」がみられるともいわれます。
けっして稀な病気ではありません。
睡眠時無呼吸症候群とは
「睡眠時無呼吸症候群」とは、一晩に10秒以上の無呼吸が30回以上、または一時間に5回以上の無呼吸がおこることです。
これらは夜間の睡眠中のことであり、患者さん御自身はもとより、ベッドパートナー(配偶者等)が一晩中観察することは不可能ですので、機械を用いての検査が必要となります。
「睡眠時無呼吸症候群」の症状には次のようなものがあります。
- ・睡眠中の呼吸停止
- ・大きないびき
- ・夜中に何度も目がさめる
- ・夜中に何回もトイレに行く
- ・日中いつも眠い
- ・居眠り運転をよく起こしそうになる
- ・起床時の頭痛やだるさ などです。
「睡眠時無呼吸症候群」では、日中の眠けのために、仕事の効率が落ちるだけでなく、交通事故や労働災害もおきやすくなります。失職や離婚の原因にもなりうるともいわれています。さらに、「睡眠時無呼吸症候群」では、睡眠中に血液中の酸素濃度が低下した状態が続きますので、「高血圧」・「心臓循環障害」、「脳循環障害」など重大な合併症をひきおこすこともあります。
いびきについて
「睡眠時無呼吸症候群」の症状の1つの大きな「いびき」について御説明します。「いびき」には生理的な「いびき」(つまり心配のいらないいびき)もあります。
- ・寝入りばなにかく「いびき」
- ・大変疲れて寝た時の「いびき」
- ・飲酒後の「いびき」
これに対し、
- ・一晩中かいている「いびき」
- ・呼吸が止まった後、急に大きく苦しそうに(あえぐように)かく「いびき」
中高年の男性の場合、睡眠中の呼吸や「いびき」の異常を発見するのは奥様というケースがほとんどです。奥様はご主人の「いびき」のかき方が少しでも気なりましたら、早めに受診して検査を受けることをご主人に勧めて下さい。
検査を行なうと、心配しなくてはならない「いびき」かどうかがわかります。
睡眠時無呼吸症候群チェックシート
次の8つの状況での眠気を4段階で評価してみましょう。
合計が11点以上なら「睡眠時無呼吸症候群」の可能性があります。
Epworth Sleepness Scale(ESS)
0点:決して眠くならない |
1点:まれに眠くなる |
2点:時々眠くなる |
3点:眠くなることが多い |
■ 状 況 | 点 数 | |||
1:座って読書しているとき | 0 | 1 | 2 | 3 |
2:テレビを見ているとき | 0 | 1 | 2 | 3 |
3:人がたくさんいる場所で座って何もしていないとき (例えば会議中、映画鑑賞中) | 0 | 1 | 2 | 3 |
4:車に乗せてもらっているとき(1時間くらい) | 0 | 1 | 2 | 3 |
5:午後横になって休憩しているとき | 0 | 1 | 2 | 3 |
6:座って誰かと話をしているとき | 0 | 1 | 2 | 3 |
7:昼食後、静かに座っているとき | 0 | 1 | 2 | 3 |
8:運転中、渋滞や信号で止まっているとき | 0 | 1 | 2 | 3 |
合 計 |
検査装置について
東苗穂病院では自宅で睡眠時無呼吸検査を行える簡易装置を常備しており、受診されたその日にご自宅で検査ができます。 使用方法について説明をおききいただき、夜寝る前にご自分で簡単に取り付けられるものとなります。 但し簡易検査であるため検査結果には限界がありますが、ご自身の睡眠状態を知るためには有用な検査です。 検査が終わりましたら、宅急便でご返却いただきます(無料です)。
睡眠時無呼吸症候群の検査について
睡眠ポリグラフィーという検査を用います。基本的には入院検査になります。一晩入院していただき、いろいろな電極やセンサーなどの検査端子を身体に取り付けて眠り、睡眠状態を見ます。センサー類がじゃまに感じるかもしれませんが、決して痛みを伴うものではありませんので安心してリラックスして検査を受けてください。検査はすべて個室で行なわれます。診断結果は後日、外来にてお伝えします。
入院検査ではありますが、夜入院で翌朝退院になりますので、会社などを休まずに検査が出来ます。検査日程等、外来診察時に決定します。まずは、外来を受診し医師にご相談ください。
CPAP療法(シーパップ療法)とは?
CPAP療法は、睡眠時無呼吸症候群の患者さんに極めて有効な治療法の一つで、鼻マスクを利用して空気を送り込み、圧力をかけ、気道を閉じないようにします。したがって、睡眠時無呼吸症候群の原因に対する根本的な治療ではありませんが、現在では最も有効な治療法と考えられています。CPAP療法によって睡眠中に気道が閉じなくなるため、無呼吸や低呼吸による酸素不足は解消され、睡眠の質を向上させることが出来、睡眠時無呼吸症候群がまねく高血圧症や狭心症、心筋梗塞といった循環器の病気など、合併症を予防することも出来ます。
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