慢性腎臓病(CKD)
慢性腎臓病(CKD)とは
慢性腎臓病(CKD)とは、何らかの腎障害が3ヶ月以上持続する場合と定義され、心筋梗塞などの心血管病合併の頻度が高く、また無症状のうちに腎機能が低下し、透析や腎移植を必要とすることも少なくないので注意が必要な病気です。
原因
主な原因として加齢、糖尿病、高血圧、脂質異常症、メタボリックシンドローム、慢性糸球体腎炎があげられます。末期腎不全から透析治療を導入した主な原因は糖尿病の合併症、糖尿病腎症となり、次いで動脈硬化からの腎硬化症です。
わが国の慢性透析療法の現況(2019 年 12 月 31 日現在)
2019 年透析導入患者の動態 導入患者 原疾患割合の推移,1983-2019
症状
はじめは自覚症状がなく、進行とともに夜間尿、貧血、倦怠感、むくみ(手の指、顔、足のすねや甲等)、息切れなどの症状が現れます。
慢性腎臓病(CKD)になると、脳卒中や心筋梗塞等の心血管疾患の発症リスクが約3倍高くなります。
検査
腎臓の機能を調べるため以下のような検査が行われます。
尿検査 | たんぱく質や血液が尿に漏れ出ていないかを検査します。激しい運動などでもたんぱく質や血液が出ることはあるので、1度検出された場合でも、2~3度再検査し、確認することがあります。 |
血液検査 | さまざまな値で腎臓の働きをチェックします。そのなかでも重要なのが血清クレアチニン値で、数値的に腎臓の働きを確認することができます。 |
画像診断 | 超音波、腹部CTなどで、大きさや合併症(腫瘍や結石など)の有無を調べます。 |
腎生検 | 腎臓の組織を顕微鏡で検査し診断します。 |
治療
治療は生活習慣の改善、食事療法、脂質管理、血糖管理、塩分摂取制限、薬物治療による血圧管理、貧血改善おこなうことと共に進行度合いや症状に応じて、定期的な検査が重要です。
また腎臓機能が低下してしまっているときは、進行を遅らせる治療を行います。
どちらの場合も総合的な管理が重要になります。
末期腎不全(ESKD)に対する治療
腎臓の働きの一部を補う腎代替療法、腎臓移植を行う根治治療があります。
主治医からそれぞれの治療のメリットとデメリットの説明を受けて、患者さんの今後の生活にあった治療法を選択することが必要です。
腎代替療法 | |
腹膜透析(PD) | 血液透析(HD) |
お腹の中に腹膜透析液を入れ、腹膜を介して水や老廃物を取り除く方法です。その透析液を一日数回交換して、血液をきれいにします。月1~2回、自宅、会社など清潔な場所なら透析の場所はどこでも可能です。 | 血液透析(Hemodialysis:略称HD)では、血液を体外に取り出し、ダイアライザーと呼ばれる透析器(人工の膜)に通すことによって、血液中の不要な老廃物や水分を取り除き、血液を浄化します。きれいになった血液は、再び体内に戻されます。 |
食事療法
CKDは生活習慣の改善・食事・血圧を管理することで進行を抑えることが可能です。毎日の食事で注意すべきことは、病気の進行度や性別、年齢、生活習慣などによって違います。腎臓の機能が低下した場合はさらなる腎機能低下を防ぐための食事療法が必要になります。かかりつけの医師や栄養士の指導を受けましょう。
ポイント
●たんぱく質は適切な量・質の良いものを摂取しましょう
●塩分の摂りすぎに注意しましょう
1日の目標摂取量 6g未満
●バランス良い食事でエネルギーを摂取しましょう
1日、標準体重1kgあたり30キロカロリー程度
●症状にあわせたカリウム・リン・水分の制限