苗穂通りクリニック<外来・訪問診療・睡眠時無呼吸症候群外来>

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医療法人社団 豊生会  >  苗穂通りクリニック  >   睡眠時無呼吸症候群について

睡眠時無呼吸症候群について

●睡眠時無呼吸症候群とは?
●こんな症状に要注意
●こんな人が危ない
●今日からできる予防法
●居眠り運転が5倍に!?
●透睡眠時無呼吸症候群の定義・重症度分類
●「もしかしたら?」と思ったら、早めの受診が肝心!
●睡眠時無呼吸症候群 セルフチェック
●検査について

睡眠時無呼吸症候群とは? トップへ戻る

 

日本の潜在患者数は300万人以上?

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)は、眠っている間に呼吸が止まる病気です。Sleep Apnea Syndromeの頭文字をとって、「SAS(サス)」とも言われます。
医学的には、10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まった状態)を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、若しくは1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸です。
寝ている間の無呼吸に私たちはなかなか気付くことができないために、検査・治療を受けていない多くの潜在患者がいると推計されています。
この病気が深刻なのは、寝ている間に生じる無呼吸が、起きているときの私たちの活動に様々な影響を及ぼすこと。気付かないうちに日常生活に様々なリスクが生じる可能性があるのです。

  


こんな症状に要注意 トップへ戻る

睡眠中の酸素不足による脳や身体へのダメージ

本来、睡眠は日中活動した脳と身体を十分に休息させるためのもの。
その最中に呼吸停止が繰り返されることで、身体の中の酸素が減っていきます。すると、その酸素不足を補おうと、身体は心拍数を上げます。寝ている本人は気付いていなくても、寝ている間中脳や身体には大きな負担がかかっているわけです。脳も身体も断続的に覚醒した状態になるので、これでは休息どころではありません。
その結果、強い眠気や倦怠感、集中力低下などが引き起こされ、日中の様々な活動に影響が生じてきます。

いびきだけじゃない!こんな症状はありませんか?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の代表的な症状をご紹介します。
自覚症状の感じ方や程度には個人差がありますから、可能であれば寝ている間のことについてぜひご家族やパートナーにきいてみてください。
「ちょっと疲れているだけ」、「いつものこと」で終わらせず、日常生活を振り返ってみましょう。

時間帯別にチェック!

寝ている間...

・いびきをかく
・いびきが止まり、大きな呼吸とともに再びいびきをかきはじめる
・呼吸が止まる
・呼吸が乱れる、息苦しさを感じる
・むせる
・何度も目が覚める(お手洗いに起きる)
・寝汗をかく

起きた時...

・口が渇いている
・頭が痛い、ズキズキする
・熟睡感がない
・すっきり起きられない
・身体が重いと感じる

起きている時...

・強い眠気がある
・だるさ、倦怠感がある
・集中力が続かない
・いつも疲労感がある

こんな人が危ない トップへ戻る

生活習慣~夜だけじゃない!日中の生活にも要注意~

・タバコがやめられない
・お酒が好きで、寝る前のお酒が習慣化
・太り気味。暴飲暴食してしまうことがある
・高血圧、糖尿病、高脂血症などの既往がある

見た目の特徴~痩せているからといって安心は禁物~

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、太った男性がかかる病気というイメージがあるかも知れませんが、太っていなくても、痩せていても、女性でもかかる病気です。
それは、顔や首まわりの形体的特徴がその発症と強く関連するためです。
SASになりやすい形体的特徴をご紹介しましょう

・首が短い
・首が太い、まわりに脂肪がついている
・下あごが小さい、小顔
・下あごが後方に引っ込んでいる
・歯並びが悪い
・舌や舌の付け根が大きい

性別~男性罹患率の高い病気です~

男性に多い理由の1つには、男性特有の脂肪のつき方・体型が関係していると考えられています。女性と比べて男性の肥満は上半身に脂肪がつきやすいのが特徴で、BMIをマッチさせた健康な男女の比較によると、男性では頸部への脂肪の分布割合がより高い傾向がみられます。このような男性特有の体型がSAS罹患率にも影響していると考えられます。ただし、女性も年代によっては罹患率が上昇するため注意が必要です。

年齢~30から60代の働き盛りにあたる年代は要注意~

生活習慣病を発症したり、体型が変化したりする年代でもあります。年齢と共に喉や首まわりの筋力が衰えることもリスクを高める一因。
20歳の頃のご自分を思い浮かべて下さい。その頃と比べて10kg以上太ったというような場合は、首・喉まわりの脂肪が増えて気道を狭くしやすくしている可能性があります。注意が必要でしょう。

閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)は男性に多いことが報告されていますが、更年期以降には女性の罹患率も高まります。また、OSAの特徴的な症状である「いびき」も、加齢と共にその頻度が高くなります。その理由の1つは女性ホルモンの働きにあると考えられています。女性ホルモンの1つであるプロゲステロンには、上気道開大筋の筋活動を高める作用があります。閉経によるホルモンバランスの変化がOSA発症に関与していると考えられています。 閉経後では閉経前と比べて発症率がおよそ3倍にもなるというデータも報告されています。



今日からできる予防法 トップへ戻る

適正体重の維持

どんな病気にも共通しますが、太りすぎないことが重要です。SASは喉や首まわりの脂肪沈着がその発症に大きく関与します。今SASでなくても、顎の大きさによっては少しの体重増加がSASにつながる可能性も。
もし今太っているとしたら、適正体重を目指すよう心掛けましょう。すでに治療中の方にとっては、やせることは治療の一環になります。

お酒に注意

いつもはいびきをかかないのに、お酒を飲んだ日にはいびきをかいてしまう–そんな経験はありませんか?
アルコールによって筋肉が弛緩するためです。首や喉まわり、上気道を支える筋肉も例外ではなく、上気道が狭くなる結果、いつもはないいびきが生じるのです。
ただでさえ寝るときは筋肉が緩んでいますので、アルコールが加わればさらに無呼吸に陥るリスクを高めることになります。定常的な寝酒などは控えるのが賢明です。

鼻症状の改善、口呼吸から鼻呼吸へ

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの鼻症状がある場合は、本来の鼻呼吸がしにくく口呼吸になるケースがあります。口呼吸の結果、鼻呼吸のときよりも咽頭が狭くなるため上気道が閉塞しやすい状態になります。口呼吸はSAS以外にも様々な病気との関連が示唆されているので、その意味でも鼻呼吸は重要です。
口呼吸をしている方には耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。

睡眠薬服用の注意

睡眠薬の多くは無呼吸症状を悪化あるいは助長させます。
自己判断での服用は避け、主治医とよく相談することが大切です。

寝姿勢の工夫

仰向けで寝るよりも、横向きで寝ると上気道の閉塞を軽減できる場合があります。
抱き枕などを使って横向きで寝られる工夫をしてみるのも良いでしょう。

居眠り運転が5倍に!? トップへ戻る


睡眠時無呼吸症候群(SAS)によって生じる日中の眠気は、判断力・集中力や作業効率の低下を招きかねません。SASや睡眠障害によって生じる経済的損失が3.5兆円になるとの試算もあるように、交通事故をはじめ医療事故・産業事故などにもつながれば社会的リスクも重大です。
SASによる居眠りは、仕事中や運転中にも悪影響を与えかねません。
「運転中の眠気」の経験割合は、非SAS患者と比較してSAS患者で4倍(40.9%)、「居眠り運転」ではなんと5倍(28.2%)という調査結果も示されています。

睡眠時無呼吸症候群の定義・重症度分類 トップへ戻る

睡眠時無呼吸症候群の定義

無呼吸とは、10秒以上の呼吸気流の停止を言います。睡眠中に、この無呼吸が一晩(7時間)の睡眠中に30回以上、又は1時間あたりでは、5回以上で睡眠時無呼吸症候群とみなされます。

重症度分類

・正常…無呼吸 5回未満
・軽症…無呼吸 5~15回未満
・中等症…無呼吸 15~30回未満
・重症…無呼吸 30回以上

「もしかしたら?」と思ったら、早めの受診が肝心! トップへ戻る

睡眠時無呼吸症候群は治療できる病気です
自分では気付いていなくても、ご家族や友人・同僚などからいびきや居眠り、寝ている間の無呼吸を指摘されたら、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を疑ってみることも必要です。ご家族やベッドパートナーと一緒に受診する方も多くいらっしゃいます。寝ている間の自分ではわからないことだからこそ、周りからのアドバイスが貴重なのです。
「疲れているから」、「いつものこと」で済まされない事態を招いてしまう前に、早めの対処が大切です。



睡眠時無呼吸症候群 セルフチェック トップへ戻る

最近の生活で、下記のような状況になると眠ってしまいますか。数字に〇をお付けください。

●0=決して眠くならない
●1=稀に(ときに)眠くなる
●2=1と3の中間
●3=眠くなることが多い
睡眠時無呼吸症候群セルフチェックリスト

※24点満点のうち、11点を超えると眠気は強いと判断され睡眠障害の疑いがあると言われています。

検査について トップへ戻る

①まずは問診から

ここで重要なのは、起きている間の自覚症状や生活状況について医師に伝えること。昼間の眠気の自覚のほか、既往歴や体調変化、SASに特徴的ないびきの有無などの情報が診療に役立ちます。

②自宅で睡眠中の状態を「検査」

問診の結果SASの可能性が疑われる場合には、具体的な検査へと進みます。自宅で普段通りに寝ながらできる検査から始めます。自宅でも取扱い可能な検査機器を使って、普段と同じように寝ている間にできる検査です。手の指や鼻の下にセンサーをつけ、いびきや呼吸の状態から睡眠時無呼吸症候(SAS)の可能性を調べます。自宅でもできる検査なので、普段と変わらず仕事や日常生活をそれほど心配せずに検査することができます。

③医療機関に1泊して睡眠と呼吸の「質」をチェック

簡易検査よりもさらに詳しく、睡眠と呼吸の「質」の状態を調べる検査です。終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査と呼ばれます。
専門の医療機関に入院して行う検査ですが、仕事などへの支障が少ないよう、仕事終わりの夜に入院し、翌朝出勤前に退院できます。
入院から退院までのタイムスケジュールの他、入院時の注意点、費用、持ち物などについては予約の際にご案内致します。